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こうのす広場編集部 TOPICS

鴻巣市で初のコウノトリ放鳥 「晴」と「天」が大空へ羽ばたく【埼玉県鴻巣市】

コウノトリ野生復帰センター 天空の里 誕生から3か月半、感動の4日間

背中にGPS発信機が着けられた天(左)と晴

鴻巣市コウノトリ野生復帰センター 天空の里で2026年7月18日(土)、同施設で初となるコウノトリの放鳥が行われ、4月に誕生した2羽のオスのヒナが大空へと飛び立ちました。

愛称は「晴(はる)」と「天(てん)」に込められた願い

コウノトリの放鳥は埼玉県内でも初めて。関東地方では、千葉県野田市の「こうのとりの里」に次いで、同センターが2例目の施設です。

 

放鳥式には、有精卵を譲り受けた多摩動物公園(東京都)の園長をはじめ、関係者が出席。並木正年市長は「コウノトリは自然と共存するシンボル」とあいさつし、コウノトリの飼育や野生復帰ができる環境づくりを推進する市の取り組みを支えてきた関係者や市民への感謝を述べました。

 

また、公募していたヒナの愛称も発表されました。4月3日生まれで、個体識別用の足環が緑色の仮名「ミドリ」は「晴(はる)」に、翌4日生まれで青い足環の仮名「アオ」は「天(てん)」に決定。それぞれ「青く晴れ渡る空」「天高く舞ってほしい」という願いが込められています。

 

2羽の名前を合わせると「晴天(せいてん)」「天晴(あっぱれ)」と読めることから、大野元裕知事は「年間の晴れの日の数が日本一の埼玉県らしい名前を付けていただいた」と喜びつつ、生物多様性を取り戻す「ネイチャーポジティブ」のきっかけにコウノトリがなることを期待しました。

あいさつする並木市長

大野知事も祝福に駆け付けました

2羽の愛称「晴」「天」が発表されました

飛ばない2羽に会場は笑顔 2時間半続いた見守り

そして午前10時17分、晴と天がいるケージのネットが開け放たれました。

 

ところが、2羽には飛び立つ気配がありません。

 

「ソフトリリース」と呼ばれる、鳥が自分のタイミングで飛び立つ放鳥方法では、飛び立つまで数日かかることもあるそう。晴と天も、いつも通りケージ内を歩き回り、餌を食べ、ゆったりと過ごします。

あまりにも動かないため、出席者が「ほら、報道陣のためにポーズをとってくれているよ」と声を掛ける場面もあり、会場は笑いに包まれました。

仕切りのネットが開けられ、天井が開いたケージとつながりました

ネットが開けられたことより、館内の人間たちに興味津々な晴(左)と天

「今日は何の集まりですか?」(※コメントは想像です)

奥の池に餌の魚を入れると

晴が巣台を飛び出しました

そのまま飛んでいくかとも思いましたが、餌の元へ

天も追いかけて、仲良くごはんです

その後、一般公開が当初の予定より前倒しで始まりました。

訪れた人たちは、普段と変わらない2羽の様子に「あらーこれじゃ今日は飛ばないわね」と笑います。

 

それでも時折羽根を広げるたび、皆さんは一斉に「あっ!」と声を上げ、かたずをのんで見守ります。しかし、そのまま羽根を閉じると「ああ……」とカメラを下ろす――そんな光景が約2時間半も続きました。

 

市内から訪れた60代の女性は「鴻巣に住んで32年ですが、コウノトリがいることを今回まで知らず、今日見てすごいなと思いました。もっと早くに知っていたら、小さいヒナのうちに見られたのに」と話します。

一緒に来ていた90歳の母親は「箱入りで育てられていたから、(野生生活は)大丈夫かしら。カラスにいじめられない?」と心配そうな様子でした。

 

数日前に別のケージへ移された親鳥の空と花も気になるのか、とりわけ花はヒナのいるケージのそばを離れず、ネットをくちばしや足でつついていました。

 

職員の長島さんも「無事に放鳥式を迎えられましたが、放鳥ができないことにはまだ安心できません。晴天(せいてん)と名付けたから、曇天の今日は放鳥できないかも」と苦笑い。

 

式典の片付けをしていた田村センター長にもお話をうかがうと、「(2羽は)飛ばない感じですねえ」と、この日の旅立ちは難しいかもしれないという表情を見せます。「一瞬、飛ぶしぐさをしたのですが。上が開いているのは2羽もわかっているので……」

台に飛び乗る晴に、ギャラリーから「あっ」と声が上がり、シャッター音が響く

こんなやり取りが2時間半も続きました

ケージの境を行ったり来たりしていた花

とても切なく感じます

晴が両親に「お世話になりました」とあいさつしているように見えてきました

2羽の一挙手一投足に翻弄されつつ見守るギャラリーと記者の皆さん

一体感があって楽しい体験でした

12時47分、晴が大空へ 天は3日後に飛び立つ

その時でした。

 

「あっ」

 

ギャラリーの声に外を見ると、晴が突然飛び立ったのです。

 

時刻は12時47分。本当に一瞬の出来事で、会場からは「えー」と驚きの声が上がりました。

 

ケージの対角線いっぱいに助走をつけ、大空へ飛び立った晴。その姿に驚いたように羽根をばたつかせたものの、飛び立てず取り残された格好になった天。

飼育員は「アオ―(天)!ミドリ(晴)行っちゃったよー」と声を掛けましたが、天に飛ぶ様子はありませんでした。

あああああああピントが合わない!

そしてセンター長さん、インタビューのタイミングが悪くてすみません

晴の旅立つ様子はYouTubeライブ配信画像でお届けします

天と一緒にいた池から出る晴

空と花も近寄ってきました(同市提供)

巣台のある方向へ突如駆け出す晴(同市提供)

そして方向を変えて飛び出す晴に、驚いた様子の天(同市提供)

浮き上がる晴に、天も羽根をばたつかせて追おうとしているよう(同市提供)

そして晴はそのまま大空へ

天は飛び立てず、地上に残ります(同市提供)

館外へ出ると、旋回する晴の姿がコスモスアリーナふきあげの屋根のはるか上空に見えました。

あまりにも高く、優雅に飛ぶ姿に、急な別れのさみしさと成長を見届けられたうれしさがこみ上げてきました。

 

屋外で放鳥の瞬間を待っていた県外在住の夫婦は「飛ぶのが上手。ほかのコウノトリのヒナは、慣れないと着地もへたなの」と教えてくれました。

 

職員によると、晴はその後、荒川を渡って河川敷へ降りたとのこと。翌日には午前9時台に同センター上空を飛ぶ姿も確認されました。弟を迎えに来たのでしょうか?

 

ヒナの誕生以来、毎週見に来ているという吹上地域在住の女性は、「ミドリ(晴)は積極的で活発だけど、アオ(天)はおとなしくて慎重だからね」と話します。

 

そんな天も21日(火)の午後6時頃、職員が帰宅した後に、ずっと開けられたままのケージから飛び立ちました。翌朝、その事実を知ったスタッフたちも驚いたそうです。

コスモスアリーナふきあげの上空を旋回する晴

飛ぶのが初めてと思えないほど、上手です!

残された天がさみしそうに見えてしまいます

晴が飛び立った後も、高い所から飛ぶ練習をする天

翌日も翌々日もその次の日も、けなげにも何度も練習していました

野生での生活がスタート センターが見守りと情報提供を呼びかけ

こうして大空へ羽ばたいた2羽。コウノトリは縄張りを持つため、親鳥の空と花の縄張りの同センター周辺を避け、別の場所で暮らしていくとみられています。

背中に装着したGPSは自然に外れるまで位置を追跡できるそうですが、同センターでは目撃情報の提供を呼び掛けています。

 

また、コウノトリを見かけても近づいたり餌を与えたりせず、周囲に配慮しながら温かく見守ってほしいとしています。

 

ぜひ空を見上げて、元気に飛翔する「晴」と「天」の兄弟を探してみたいですね。

元気でね、天くん(左)と晴くん

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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