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こうのすで、あんなこと!こんな人! -鴻巣活躍人物伝-

鴻巣こうのとりを育む会 代表理事 伊藤鋳義さん

コウノトリが棲める、鴻巣市の自然環境を目指して

コウノトリの伝説のある鴻巣市で、コウノトリも棲める自然環境をつくり、コウノトリを蘇らせて羽ばたかせたいと願って活動を続けているNPO法人・鴻巣こうのとりを育む会。

 

その活動のきっかけから今までの功績、鴻巣市とコウノトリへの想いについて、代表理事である伊藤鋳義さんにお話を伺いました。

伝説のあるこの地に、コウノトリを呼び戻したい

 

……この活動を始めたきっかけを教えてください。

鴻巣市にはコウノトリに関する伝説があり、地名の由来になったと言われています。街の中心にある鴻神社は、神の木に巣をつくって災いを防いだコウノトリのお宮「鴻の宮」と名付けられ、この土地の守り神として崇められました。かつては鴻巣市にもコウノトリが棲んでいたのです。戦後の食糧増産により化学肥料を使った米づくりへと変わり、田んぼの主な生き物(虫やかえるなど)が犠牲になりました。それを餌にしていたコウノトリにも影響して、国内では絶滅してしまった経緯があります。

 

もう一度、コウノトリが棲める自然環境をつくって、鴻巣市の空にコウノトリを羽ばたかせたい。そんな想いを市長に進言し、2006年1月7名に市役所の関係所轄課長2名参加のメンバーで「鴻巣こうのとりを育む会」を発足しました。

コウノトリのことを知ってもらうためにパンフレットを配布しています

コウノトリにも、人にもやさしい自然環境づくり

 

……その後、どのような活動をなさってきましたか?

先にコウノトリの飼育繁殖、野生復帰に成功している兵庫県豊岡市を参考にして活動を始めました。まずは荒川土手にコウノトリの餌場としての試験ビオトープとして、市内瀧馬室地区に「コウノトリ郷公園」湿地を造成しました。約1年半後、日本生態系協会の調査員により、イトミミズや藻が発生しており、自然なビオトープが生成されていることが確認されました。

よって、この荒川流域でつくるビオトープは、コウノトリの餌場としても利用できることが証明されました。今では保育園児や小学生の生きものの生態や自然を体験する場としても活用されています。

子ども達が参加するイベントは、とっても賑やか

次にコウノトリの誘致署名を実施して、鴻巣市民はもちろん近隣の方々からもとても多くの賛同をいただいています。おかげさまで、2012年には特定非営利活動法人(NPO法人)となりました。

 

2013年冬からは、より多くの方に理解を得るために「コウノトリを育むモデル水田つくりプロジェクト」を開始して、冬にも水を張る自然な田んぼ「冬水田んぼ」のモデル水田を小谷地域の農家の方々のご理解とご協力により小谷地区につくりました。有機栽培による稲葉農法です。「水田んぼ」は、コウノトリの餌場として、渡り鳥の休み場としての機能のほかに、家族や子ども、孫たちや、多くの子どもたちに健康なお米を食べて貰い健康な身体を作ってほしいからです。

鴻巣市の水田に、8羽のオオハクチョウが訪れました

 

……その「冬水田んぼ」で、嬉しいことがありましたね。

 

4回目の冬を迎える2016年12月11日に、8羽のオオハクチョウが飛来して、現在も「冬水たんぼ」で越冬しているんです。これは嬉しかったですね。2月27日の朝、8羽は元気に北帰行しました。コウノトリが暮らしても大丈夫な自然環境がつくれたことを証明できたとともに、私たちの夢が大きく現実に近づいた瞬間です。

白鳥たちの優雅な姿に、コウノトリへの夢も膨らみます

市役所や市民の方々に理解を得るのはなかなか大変でしたが、こうした成果が現れれば、賛同してくれる方、共鳴してくれる方が増えていきます。国交省から「手作り郷土賞」をいただいたり、多くのみなさんとのコミュニケーション、試験ビオトープを使った「ザリガニ釣り」や「多摩動物園研修会」などの子どもたちとの交流も活動の励みになっています。

 

鴻巣市で生まれた夢を、かなえるその日まで

 

……今後の展望、鴻巣市への想い、メッセージなどがありましたらお聞かせください

 

2017年は、健康な生物が棲む環境を整えて、コウノトリを飼って放鳥する場所を決められればいいですね。現在、国内にはコウノトリを生かす関係者の努力のおかげで300羽近くのコウノトリがいます。天然記念物なので扱いは難しいですが、ケージをつくって、子どもが生まれて、放鳥できるよう準備を進めて行きたいです。参考にしている兵庫県豊岡市は、放鳥までに40年かかりましたが、私たちはそれを参考にして 進めて行きたいです。

 

コウノトリからは、心のケア、子どもの情操教育、仲睦ましい行動など、学ぶべきことが多く、コウノトリも棲める自然環境をつくることで、植物や生物の多様性、地球の温暖化にも関心が高まります。コウノトリとのつながりが、人々の生き方を豊かにするのです。

 

私たちの描いた夢物語は一歩ずつ実現に向かっています。こんな風に、市民のみなさんにも大きな夢を追ってもらいたいですね。

鴻巣こうのとりを育む会

代表理事 伊藤 鋳義(いとうかねよし)さん

活動拠点:埼玉県鴻巣市小松1-9-20

電話:048-541-5923

ホームページ

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メールアドレス

talestork@yahoo.co.jp