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勝願寺にでかけよう

歴史を楽しみ、桜を愛で、静かに心を清める徳川家康ゆかりの古刹

檀林勝願寺の石碑「檀林勝願寺」と総門の扁額「栴檀林」

 勝願寺(しょうがんじ)は、JR高崎線の鴻巣駅から徒歩10分ほどの所にある浄土宗の寺院です。鎌倉時代創建の古刹(こさつ、古い寺院)、関東十八檀林(だんりん、僧侶の学問の場)の1つであり、徳川家の庇護を受けて栄えた寺院です。今でも至る所に徳川家の家紋「三つ葉葵」を見ることができます。春の桜、11月のお十夜にはたくさんの人が集まります。また、小松姫の墓を始め歴史的な見どころやパワースポット、フォトジェニックなスポットもあります。さあ、勝願寺にでかけませんか。

家康お気に入りの古刹 歴史的な文物が多く残る

凛とした静寂に満ちた1月の勝願寺 本堂

 勝願寺は浄土宗第三祖「然阿良忠(ねんなりょうちゅう)上人」が鎌倉幕府執権「北条経時」から登戸の土地の寄進を受けたことが始まりです。創建の時期は諸説ありますが建長4年(1252年)と伝えられます。天正年間(1573年~1592年)に「圓蓮社惣誉清厳(えんれんじゃそうよせいがん)上人」が現在の場所に移設し再興します。

 

 文禄元年(1592年)、鷹狩の際に勝願寺に立ち寄った徳川家康が住職「円誉不残(えんよふざん)」と意気投合して、徳川家の庇護を受けるようになりました。徳川家の家紋「三つ葉葵」の使用も許されます。また、僧侶の学問の場、関東十八壇林のひとつにもなり隆盛しました。勝願寺の本堂などの伽藍はかつて結城御殿と呼ばれました。家康の次男結城秀康が、慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いの功績により越前国北の庄(福井県福井市)へ国替えになった際、元の結城城(茨城県結城市)の御殿の一部を移築したものです。残念ながら明治3年(1870年)に全壊してしまいました。現在の本堂は明治24年(1891年)に再建されたものです。

 

 埼玉県や鴻巣市指定文化財を含む歴史的な文物が数多く残っています。収納されている文化財は通常非公開ですが、学校や団体の方は事前に連絡すれば見せていただけることもあるそうです。歴史好きの方は、グループで申し込まれてみてはいかがでしょうか。

勝願寺境内絵図(部分) 結城御殿が描かれた江戸時代の檀林時代の様子を伝える

勝願寺を開いた然阿良忠上人の木像

家康像と伝えられる木像

大蔵一覧集 現存が少ない日本で最初の銅活字活版書籍 全11冊が残る

本尊の阿弥陀如来坐像 平安時代の作と伝えられる

至る所で見ることができる徳川家の家紋「三つ葉葵」

お十夜と人形供養など、人気の催しがいろいろ

 

 勝願寺での初詣から一年を始めてみませんか。徳川家の庇護を受けた寺院ということもあり、境内は広く静寂に満ち、神聖な気持ちでお参りすることができるでしょう。そして、春には境内に咲き誇る桜を愛で、夏は木陰の風が通り抜ける涼やかな境内を楽しむことができます。

毎年11月14日の人形供養 全国から集まったひな人形に感謝しお焚き上げをする

 11月14日に開催される勝願寺のお十夜は関東三大十夜のひとつに数えられます。綺麗に着飾った子どもたちによる稚児行列のお練り、全国から集まった1万体のひな人形に感謝しお焚き上げをする人形供養も行われます。境内にはいろいろな夜店が並び、見て回るだけでも楽しいひと時になります。

※人形供養についてのお問合せは、鴻巣ひな人形協会(TEL : 048-541-3517 (株)マル武人形内)へ。

 

 そして、1年の締めくくりは除夜の鐘。一般の人も鐘を撞かせてもらえます。一年で溜まった煩悩を解放するつもりで前の人の撞く鐘の音を聞きながら順番を待ちましょう。

 

【主な時期】
1月 初詣、4月 桜の花、5月 なんじゃもんじゃの花、11月 お十夜・人形供養、12 月31日 除夜の鐘

広い境内でパワーをもらい、SNS映えする写真を撮ろう

 勝願寺は鴻巣公園の隣ということもあり4月の鴻巣公園の桜まつりで気が付かないうちに境内を訪れた人もいるかも知れません。広い境内には、石仏や地蔵、歴史上の有名人の墓もあります。

 

少しだけですが、ちょっと自慢できる撮影スポットとパワースポットをご紹介します。

 

苦難に耐えた総門

 

 勝願寺の総門は江戸時代のもの。境内の大部分が焼失した明治15年の大火や戦火、地震にも耐えた縁起の良い門です。総門に掲げられた扁額は「栴檀林(せんだんりん)」。つまり、ここは僧侶が勉強する学問の場、今でいえば“大学”という意味。受験の縁起かつぎに総門と扁額の写真を撮ってスマートフォンに保存しておきましょう。

江戸時代に作られた総門 扁額は「栴檀林(せんだんりん)」

 仁王門の桜

春の桜で有名な仁王門 門の先に本堂が見えている

仁王像のひとつ、口を開けた阿形像(あぎょうぞう)

 鴻巣を紹介するパンフレットには必ず紹介してあるのが仁王門の桜です。先ほど紹介した総門から続く桜並木を通って仁王門に行きましょう。この仁王様はなかなかハンサムで愛嬌のあるお顔をされています。仁王様と一緒にツーショットをどうぞ。

江戸時代の有名人の墓

 

 境内には関東郡代の伊奈忠次と息子の忠政の墓(埼玉県指定文化財)、戦国武将の牧野康成の一族の墓所、NHKの大河ドラマ「真田丸」に出ていた小松姫、真田信重夫妻の墓、大泥棒の石川五右衛門を捕まえたことでも知られ漫画「センゴク」の主役「仙石秀久」の墓もあります。昔の人に夢を馳せ、パワーをもらいましょう。

仙石秀久、真田信重 妻と夫、小松姫の墓(左より)


勝願寺のご住職藤田得三さんにお話を聞きました。掲載させていただいたのは、皆さんに興味を持っていただけそうな話のほんの出だしだけです。住職の興味深いお話のほとんどは残念ながら割愛させていただきました。歴史に興味のある方は、ぜひ、調べてみてください。鴻巣や江戸東京にゆかりのある人物や文化財などが多数あります。なお、登戸にあった勝願寺は登戸勝願寺とも呼ばれ、現在、新義真言宗の寺院となっています。こちらの勝願寺とは場所も異なる寺院ですのでご注意ください。


 

天照山良忠院 勝願寺
てんしょうざんりょうちゅういん しょうがんじ
埼玉県鴻巣市本町8-2-31
TEL 048-541-0227